2013-01-01から1年間の記事一覧

内村鑑三 マタイ伝 28講

28 イエスの祈祷とその注解 耶蘇の祈祷と其註解 明治32年7月5日『東京独立雑誌』36号「講壇」 署名内村鑑三 天に在〔ま〕します我儕〔われら〕の父よ、 願くは爾〔なんじ〕の名を尊(たうた)ませ給へ、 爾の国を臨(きた)らせ給へ、 爾の旨(みこころ)の天に成…

内村鑑三 マタイ伝 27講

27 天国の宗教 天国の宗教 馬太伝六章自一節至十八節。 大正3年5月10日『聖書之研究』166号 署名内村鑑三 三月一日柏木聖書講堂に於ける講演の大意 慎めよ、汝等の義を、人の前に為〔な〕さゞるやう、彼等に見られんがために、若〔も〕し然らずば、報賞(むく…

内村鑑三 マタイ伝 26講

26マタイ伝 誤訳正解 馬太伝五章二十八節 大正元年8月10日 『聖書之研究』145号 署名内村鑑三 性慾の罪に就て語るは決して快き事ではない、之に大なる危険がある、罪を語て却〔かえつ〕て罪を想起(おもひおこさしむ)るの危険がある、我等は深き注意を以て此…

内村鑑三 マタイ伝 25講

25 マタイ伝 天国の律法 馬太〔マタイ〕伝五章十七節以下の研究 大正3年5月10日『聖書之研究』166号 署名内村鑑三 二月廿二日柏木聖書講堂に於ける講演の要点 律法(おきて)はモーセに由りて伝はり恩寵(めぐみ)と真理(まこと)はイエスキリストに由りて…

内村鑑三 マタイ伝 24講

24 マタイ伝 第二回夏期講談会に於て読まれし聖書の部分並に其略註 1901(明治34)年8月 第九日馬太〔マタイ〕伝第五章十三より十六節まで なんじらは地の塩なり、塩若し其味を失はゞ何を以てか故(もと)の味に復〔かへ〕さん、後は用なし、外に棄てられて人…

内村鑑三 マタイ伝 23講

23 マタイ伝 信者と現世 馬太伝五章十三―十六節の研究 〔マタイ〕大正3年4月10日『聖書之研究』165 署名内村鑑三 二月十五日、柏木聖書講堂に於て為せし講演の主要部分 信者は地のものではない、天のものである、世のものではない、キリストのものである、然…

内村鑑三 マタイ伝 22講

22 マタイ伝 イエスの教訓と其註解 明治32年5月15日『東京独立雑誌』31号「講壇」 署名内村鑑三 汝等は地の塩なり、塩もし其味を失はゞ味つくるに何を以てせん、後は用なし、戸外に棄てられて人にふまるゝのみ。汝等は世の光なり、山の上に建てられたる城市…

内村鑑三 マタイ伝 21講

21マタイ伝 地の塩 大正5年10月10日『聖書之研究』195号 署名内村鑑三 馬太伝五章十三節。 汝等は地の塩なり、塩もし其味を失はゞ何を以てかもとの味にかえさん、後は用なし外に棄られて人に践まるるのみ。 ○「汝等」少数の信者である、特に神に召されて万民…

内村鑑三 マタイ伝20講

20マタイ伝 山上の垂訓の読方( 高価なる基督教他) 信者に取りては神とは他(ほか)の者ではない、キリストである、天国とは他(ほか)の者ではない、キリストである、キリストを見た者は神を見たのである、神を識ること是れ永生である、而して神を識るとは…

内村鑑三 マタイ伝 19講

19マタイ伝 平和の祝福 大正3年3月10日 『聖書之研究』164号 署名内村鑑三 福〔さいわ〕ひなり、平和を求むる者は、蓋(そは)、其人は、神の子と、称(とな)へらるべければ也。馬太〔マタイ伝5章9節〕 「平和を求むる者」とは如何〔いか〕なる者である乎〔…

内村鑑三 マタイ伝 18講

18マタイ伝 最大幸福・心霊の貧 大正3年3月10日『聖書之研究』164号 署名内村鑑三 二月八日柏木聖書講堂に於て為せる講演の一部分 心の貧(まず)しき者は福(さいわい)ひなり、天国は即ち其人の有(もの)なれば也。馬太〔マタイ〕伝五章三節 是を原語の通…

内村鑑三 マタイ伝 17講

17マタイ伝 第四日第二回夏期講談会に於て読まれし聖書の部分並に其略註 馬太〔マタイ〕伝第五章三節より十二節まで 心の貧きものは福(さいはい)なり、天国は即ち其人の有(もの)なれば也。 哀〔かなし〕む者は福なり、其人は安慰(なぐさめ)を得べけれ…

内村鑑三 マタイ伝 16講; 補講

16講 七福の解のための「馬太伝に現はれたる基督の再来」 (二月十日神田青年会館に於て) 大正7年3月10日『聖書之研究』212号 署名内村鑑三述藤井武筆記 余はクリスチヤンとなりてより四十年後の今日程思想の充溢を覚えたる時はない、此頃自分乍〔なが〕ら何…

内村鑑三 マタイ伝 16講

16マタイ伝 七福の解 大正7年3月10日『聖書之研究』212号 署名内村鑑三〔本巻八九頁〕 別稿「馬太〔マタイ〕伝に現はれたる基督の再来」の増補として読まれたし。 馬太伝五章山上之垂訓発端の言辞(ことば)は左の如くに配列して見て其意味が一層明瞭になる…

内村鑑三 マタイ伝 15講

マタイ伝15講 美訓と其註解 明治32年5月5日 『東京独立雑誌』30号「講壇」 署名内村鑑三 美訓(Beatitudes)は基督教聖書(バイブル)馬太〔マタイ〕伝第五章に載する耶蘇の言にして、実に西洋倫理の基礎とし称せらるゝものなり、茲〔ここ〕に余の自訳并〔なら…

内村鑑三 マタイ伝14講-その4

馬太伝第五章-4 明治39年11月10日― 40年1月10日 『聖書之研究』81・82・83号「研究」 署名内村鑑三 4マタイ伝 ○善行を以て自己を世に示さんとする勿れ、世に基督信者の模範を供せんとて焦慮(あせ)る勿れ、そは斯く為して神の聖旨に適〔かな〕ふ善行を為…

内村鑑三 マタイ伝14講ーその3

馬太伝第五章-3 明治39年11月10日― 40年1月10日 『聖書之研究』81・82・83号「研究」 署名内村鑑三 3マタイ伝5章 ○「そは汝等より前の予言者をも如此せめたりき」彼等は……窘〔はずか〕しめたれば也、彼等不信者は今汝等を窘〔はずか〕しむるが如く、汝等よ…

内村鑑三 マタイ伝14講-その2

馬太伝第五章-2 明治39年11月10日― 40年1月10日 『聖書之研究』81・82・83号「研究」 署名内村鑑三 2マタイ伝5章 矜恤(あはれみ)ある者は福なり、其人は矜恤(あはれみ)を得べければ也。(7) 「矜恤〔あわれ〕ある者」憐む者、人の困苦に在るを視て之を…

内村鑑三 マタイ伝14講-その1

マタイ伝5章-1 14講マタイ伝5章(14講は長文のため、4分割して掲載します。) 馬太伝第五章 明治39年11月10日― 40年1月10日 『聖書之研究』81・82・83号「研究」 署名内村鑑三 イエス許 多(おおくの)の人を見て山に登り坐し給ひければ弟子等も其下に来れ…

内村鑑三 マタイ伝13講-2

13講 山上の垂訓に就て-2 取除くべき三個の誤解二月一日柏木聖書講堂に於て為せる講演の大意 大正3年3月10日『聖書之研究』164号 署名内村鑑三 犬に聖物(きよきもの)を与ふる勿〔なか〕れ、又豚の前に汝等の真珠を投与(なげあた)ふる勿れ、恐らくは彼…

内村鑑三 マタイ伝 13講-1

13講 山上の垂訓に就て 取除くべき三個の誤解二月一日柏木聖書講堂に於て為せる講演の大意 大正3年3月10日『聖書之研究』164号 署名内村鑑三 山上の垂訓(すいくん)を能く理解するために三(みつ)個の誤解(ごかい)を取除くの必要がある。其第一は名称…

内村鑑三 マタイ伝 12講

12 講 イエスの受洗と其意義 馬太伝二〔三〕章十三―十七節 明治40年3月10日『聖書之研究』85号「研究」 署名 内村鑑三 イエスは洗礼をバプテスマのヨハネより受け給へり、是れ抑々〔そもそも〕何のためなりしか、彼に洗ふべき罪のなかりしは明かなり、故にヨ…

内村鑑三 マタイ伝11講その2

11講 王の誕生 その2 大正3年12月10日 『聖書之研究』173号 署名内村鑑三 馬太(マタイ)伝二章一―十二節 博士等夢に「ヘロデに還る勿れ」との黙示(つげ)に接しければ他(ほか)の道より其国に帰れりとある、神命、王命よりも重しである、真理は伝説より…

内村鑑三 マタイ伝11講ーその1

11講 王の誕生 その1 大正3年12月10日 『聖書之研究』173号 署名内村鑑三 馬太(マタイ)伝二章一―十二節 それイエスはヘロデ王の時ユダヤのベツレヘムに生れ給ひしが、其時博士等(はかせたち)東方(ひがしのかた)よりヱルサレムに来りて曰〔い〕ひける…

内村鑑三 マタイ伝 10講

10講 東方博士の訪来 馬太伝二章一―十二節 大正2年12月10日 『聖書之研究』161号 署名なし 友有り遠方より来る亦〔また〕楽しからず乎〔や〕、イエス、ユダヤのベツレヘムに生れて、猶太(ゆだや)教会の祭司と学者等、今で云へば監督と神学者等は、暴虐の…

内村鑑三マタイ伝 9講

9講 イエスの系図中の婦人 十一月十八日大阪天満教会質問会に於て 明治40年1月10日 『聖書之研究』83号「講演」 署名なし 馬太〔マタイ〕伝第一章に記されたるイエスの系図中四人の婦人(をんな)の名が録(しる)されてある、即ちタマル、ラハブ、ルツ、…

内村鑑三マタイ伝 8講

8講 第二回夏期講談会に於て読まれし聖書の部分並に其略註 第三日馬太伝第一章一節より十六節まで、 アブラハムの裔〔こ〕なるダビデの裔イエスキリストの系図 アブラハムイサクを生み、イサクヤコブを生み、ヤコブユダとその兄弟を生めり、ユダタマルに由…

内村鑑三マタイ伝 7講

7講 馬太伝第一章第一節 (七月廿八日柏木聖書講堂に於て) 大正7年9月10日 『聖書之研究』218号 署名内村鑑三述 聖書は第一に歴史である、第二に霊的教訓である、第三に預言である、預言と歴史と教訓と、此の三条の糸を以て綯(な)はれし縄が聖書である、故…

内村鑑三 マタイ伝 6講ーその2

(前稿からの続き) 然るに見よ、茲に明白なるモーセ律違犯(ゐはん)の実例が示されてあるのである、ボアヅ、ルツに由りてオベデを生みとある、真(まこと)のイスラエル人なるボアヅはモーセの律法の明文に叛(そむ)きて異邦モアブの婦人を娶りて其妻とな…

内村鑑三マタイ伝 6講ーその1

6-イエスの系図-Ⅱ 系図を以てする福音 去年十二月七日柏木聖書講堂に於て 大正3年1月10日『聖書之研究』162号 署名内村鑑三 聖書、殊〔こと〕に新約聖書は世界唯一の書であると云ふ、有益なること第一、興味多きこと第一の書であると云ふ、 然るに之を開い…