2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

内村鑑三 創世記 洪水以前 天地の創造(2)

天地の創造(2) 第廿一節 神巨〔おおい〕なる魚と水に饒に生じて動く諸ての生物を其類に従ひて創造り、又羽翼ある諸ての鳥を其類に従ひて創造り給へり、神之を善と観給へり。 「巨なる魚」tanninim 巨獣、異形の動物なり、必しも魚類に限らず、或は長さ八…

内村鑑三 創世記 洪水以前 2.天地の創造

2 天地の創造 創世記1章2-31節 第二節 地は定形なく曠空(むなし)くして黒暗(やみ)淵の面(おもて)にあり、神の霊水の面を覆ひたり。 「地」、此堅き地、岩を以て骨となし、川を以て脉〔みやく〕となし、海を湛〔たた〕え、気を以て包まるゝ地球、週囲…

内村鑑三 創世記 洪水以前 1.万物の原始

洪水以前記 1.万物の原始 創世記第一章一節 1900(明治33)年9 月 元始(はじめ)に神天地を創造(つく)り給へり。 儒教の総ては学而〔がくじ〕の一節に籠り居るとは余の曾〔かつ〕て聞きし所なり、正当に之を解せば或は然るやも知れず、創世記は基督教聖書…

内村鑑三 創世記 虹の意味

虹の意味 大正11年9月10日 『聖書之研究』266号 署名内村鑑三 神言ひ給ひけるは、我が我と汝等〔なんじら〕及び汝等〔なんじら〕と共なるすべての生物との間に世々限りなく為〔な〕す所の契約の徴(しるし)は是なり、我れ我が虹を雲の中に起さん、是れ我と世…

内村鑑三 創世記 ノアの大洪水(2)

其七 ノアの大洪水 創世記 第六―第九章 (二) ○現代人は万事を天然的に見る、古代人は万事を信仰的に見た。現代人に奇跡はなく、古代人には万事が奇跡であつた。現代人は万事を直接原因に由て説明せんと欲し、古代人は之を第一原因にまで運んだ。二者孰〔いず…

内村鑑三 創世記 ノアの大洪水(1)

其六 ノアの大洪水 創世記 六章より九章まで 1930(昭和5)年1 月 (一) ○ノアの大洪水に就ては四章に渉〔わた〕り創世記に記載せらる。其内どれ丈けが歴史的事実である乎、之を確定する事が出来ない。其内に今日の常識を以つてしては事実として受取り難い事が…

内村鑑三 創世記 ノアの洪水

ノアの洪水 創世記六章より八章まで、馬太〔マタイ〕伝廿四章三七―三九節、 路加〔ルカ〕伝十七章二六、二七節、彼得〔ペテロ〕後書三章三―一三節 大正7年7月10日 『聖書之研究』216号 署名内村鑑三 ○ノアの洪水は歴史的事実である、是は曾〔かつ〕て有りし…

内村鑑三 創世記 アダムよりノアまで 創世記第五章

其五 アダムよりノアまで 創世記第五章 創世記の研究 1930(昭和5)年1 月 ○路加〔ルカ〕伝第三章はイエスの系統を掲げ、ノア以前の先祖を列記して曰〔いわ〕く ノア、其父はラメク、其父はマトサラ、其父はエノク、其父はヤレド、其父はマハラレル、其父はカ…

内村鑑三 創世記 アベル族とカイン族

アベル族とカイン族 大正11年4月10日『聖書之研究』261号署名内村 アベル族とカイン族 信者に二種ある、アベル型の信者とカイン型の信者と是れである、 アベル型の信者とは創世記四章に於〔おい〕て示さるゝが如〔ごと〕くに羊の初生(うひご)を供物(そな…

内村鑑三 創世記  カインとアベル

其四 カインとアベル 創世記四章一―一六節 創世記の研究 1930(昭和5)年1 月 ○聖書の此所〔ここ〕を読み誰にも起る問題は、神は何故(なぜ)アベルの供物(そなへもの)を受けてカインのそれを斥〔しりぞ〕け給ひし乎。二人共に己が従事せし産業(なりわい)の…

内村鑑三 創世記 人類の堕落と最初の福音

人類の堕落と最初の福音 (五月十一、十八日) 創世記第三章の研究 大正8年7月10日 『聖書之研究』228号 署名 内村鑑三 述藤井武筆記 創世記第三章の記事は興味ある物語(ものがたり)なるも其中に我等各自の信仰と深き関係を有する大なる真理あるなしとは近世人…

内村鑑三 創世記 人類の堕落

人類の堕落 創世記第三章 1930(昭和5)年1 月 ○園の中央に二種の樹があつた、生命の樹と善悪を知るの樹があつた。前者を食へば生き、後者を食へば死すとの事であつた。そしてアダムとエバとは人類を代表して、蛇に欺かれて生命の樹を斥〔しりぞ〕けて知識の樹…