内村鑑三 一日一生から

 一日一生 内村鑑三

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼をしらずにいた。彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。(ヨハネ伝1:9~11)
エスはその道徳が他にすぐれてあまりに高潔なりしがゆえに人に憎まれたのではない。彼が彼の父なる神に忠実ならんとして、人には何人にもくみせざりしがゆに、それがためにすべての人に憎まれたのである。
 
すなわち、彼は無党派、無教会、無国家なりしがゆえに、すべての党派、すべての教会、すべての国人ににくまれたのである。世に孤独なる者とて神とともにある者のごときはない。しかもイエスは神をのみ友としたる者である。世はかかる者をうけいれない。この世はすべての党派である。党派でないものはこの世のものではない。党派はつねにたがいに相い争うといえども、いづれの党派にも属せざる者はすべての党派の斥け(しりぞ)くるところとなる。エスが全世界の斥くるところとなりしは、半(なか)ばはこの恐怖、半ばはこの嫌悪によるのである
 
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