一人のために

マタイ18:10 あなたがたは、この小さい者たちを、ひとりでも見下げたりしないように気をつけなさい。
まことに、あなたがたに告げます。彼らの天の御使いたちは、天におられるわたしの父の御顔をいつも見ているからです。
 18:11 人の子は、滅んでいる者を救うために来たのです。〕
 18:12 あなたがたはどう思いますか。もし、だれかが百匹の羊を持っていて、そのうちの一匹が迷い出たとしたら、その人は九十九匹を山に残して、迷った一匹を捜しに出かけないでしょうか
 18:13 そして、もし、いたとなれば、まことに、あなたがたに告げます。その人は迷わなかった九十九匹の羊以上にこの一匹を喜ぶのです。
 18:14 このように、この小さい者たちのひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではありません
 
「詩集 一人のために 安積 ( あづみ ) 得也 ( とくや ) 」より
 
最大多数の最大幸福に
すべての視線が集中するとき
迷える羊一匹を求めて
夜も眠らざる大教師をなつかしむ
 
一人を徹底的に愛し得ぬ者が
なんで万人を愛しうるか
 
親に完全に捧げ得ぬ若者が
なんで社会に捧げ得るか
 
老人に席をゆずり得ぬ女学生が
なんで貧民全体をすくい得るか
 
個に徹せざる象徴は空虚なり
我ら今縁の下の一隅に生く
光栄の縁の下よ
縁の下の一隅に
お前はなにを捧ぐるのか
 
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「一人のために」讃   賀川豊彦
 霜ふかき朝
泥濘の道を行く
聖き道
ただ一人のために
 
夕空にオリオンを仰ぎ
シリウスの青白き光に
見入る
寒き冬の夜
 
大能者と共にあれば
霜も寒気も恐れず
光明をまつ暁
東に白む