雨にも負けず 宮沢賢治

イメージ 1

東京も梅雨に入った。昨晩からの雨である。雨の日には、宮沢賢治の「雨にも負けず」を唱ってみたくなる、静かに。

雨にもまけず
風にもまけず
雪にも夏の暑さにもまけぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して瞋(いか)らず
いつもしずかにわらっている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜をたべ
あらゆることを
じぶんをかんじょうに入れずに
よくみききし わかり
そして わすれず

野原の松の林の蔭の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病氣のこどもあれば
行って看病してやり
西につかれた母あれば
行ってその稻の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って こわがらなくてもいいといい
北にけんかや そしょうがあれば
つまらないから やめろといい
ひでりのときは なみだをながし
さむさのなつは おろおろ あるき
みんなに でくのぼうとよばれ
ほめられもせず
くにもされず
そういうものに
わたしはなりたい

私もなりたい、そうゆう人に。

写真:一輪のバラに一匹の蜂か、盛んに蜜を吸っていた。バラは蜂に蜜を提供し、蜂はバラの花粉を運ぶ。もちつ持たれずの関係は人間の世界でも日常的ではあるのだが、お互いに恩義を感じないところがさわやかだ。